2026.3.31
協力医療機関連携加算、2026年6月から算定要件が大幅に緩和へ
― 現場負担の軽減と連携の実効性確保を両立する見直し ―
2026年6月より、協力医療機関連携加算の算定要件が大幅に緩和されることとなった。
今回の見直しは、介護施設と協力医療機関の連携をより現実的かつ持続可能なものとするため、特に「定期的な会議の開催要件」を中心に実務負担を軽減するものである。
1.緩和の背景
協力医療機関連携加算は、入所者の急変時対応を確実にするため、協力医療機関との平時からの情報共有・協議体制を評価する加算である。
しかし、現行要件では会議開催頻度が高く、現場から「負担が重すぎる」との声が多数寄せられていた。
実際、厚労省調査では、加算を算定できない理由の最多が「会議負担の重さ」であり、特養で46.3%、老健で52.9%が算定を断念していたとされる。
こうした状況を踏まえ、医療側の診療報酬改定と歩調を合わせる形で、会議要件の緩和が決定された。
2.緩和された算定要件の詳細
今回の緩和の中心は、定期的な会議の開催頻度の大幅な見直しである。
(1)会議開催頻度の緩和
・情報提供体制:ICTによる情報共有ありの場合
(現行)年3回以上 ⇒ (6月以降)年1回以上
・情報提供体制:ICTによる情報共有なしの場合
(現行)概ね月1回以上 ⇒ (6月以降)原則年3回
ICT活用の有無により、会議頻度が明確に区分され、ICT活用時は年1回まで大幅に軽減される。
これは、医療側の「協力対象施設入所者入院加算」等の会議要件と完全に整合する形である。
(2)会議の実施方法の柔軟化
・テレビ電話・オンライン会議の活用が引き続き認められる。
・施設側・医療機関側が随時情報共有できる体制があれば、会議の内容は必要最小限でよいとされる。
・会議は急変時対応の協議と一体的に行うことも可能である。
(3)記録・文書化の負担軽減
・会議記録は従来どおり必要だが、形式は問わず、ICTシステム上の記録も認められる。
・施設と医療機関の双方が確認できる形であれば、詳細な議事録作成までは求められない。
(4)協力医療機関の範囲の柔軟化
・複数の医療機関を組み合わせて要件を満たすことが可能である。
・地域包括ケア病棟や在宅療養支援病院等、地域の実情に応じた選定が認められる。
3.緩和による効果
今回の緩和により、以下の効果が期待される。
(1)現場の事務負担の大幅軽減
月1回の会議開催が困難であった施設でも、年3回または年1回の開催で算定が可能となるため、会議準備・調整・記録作成にかかる負担が大幅に減少する。
(2)医療・介護の連携の実効性向上
会議回数よりも「急変時に機能する連携体制」を重視する方向へ転換されたことで、形式的な会議よりも、実質的な情報共有・協力体制の構築が促される。
(3)ICT活用の促進
ICT活用時の会議頻度が最も軽減されるため、施設側のICT導入のインセンティブが高まる。
4.今後の課題
一方で、会議頻度が減ることで、連携の質が低下しないよう注意が必要である。
特に、「急変時の連絡体制」「入所者情報の最新化」「医療機関との役割分担の明確化」といった点は、施設側が主体的に維持・強化していく必要がある。
5.まとめ
今回の算定要件緩和は、現場の声を踏まえた実務的な見直しであり、介護施設と医療機関の連携をより現実的な形で推進するものである。
会議頻度の大幅な緩和により、加算算定のハードルは確実に下がるが、連携の質を維持するための自主的な取り組みが今後ますます重要となる。