2026.3.31
人員基準欠如減算、2026年6月から新たな特例措置が導入へ
― 深刻な人材不足を踏まえ、最大3か月の猶予期間を新設 ―
2026年6月より、介護事業所・施設に適用される「人員基準欠如減算」の仕組みが見直され、新たに最大3か月の猶予期間が設けられることとなった。
今回の改正は、全国的な人材不足が深刻化する中で、突発的な欠員により直ちに減算が適用され、事業運営が不安定化することを防ぐ目的で導入されるものである。
1.改正の背景
人員基準欠如減算は、介護職員・看護職員・ケアマネジャーなどの配置基準を満たせなくなった場合に、原則として基本報酬を3割減算する仕組みである。
しかし、近年は採用環境が極めて厳しく、欠員が生じてもすぐに補充できないケースが増加している。
そのため、現行制度では「欠員が出た瞬間に経営リスクが発生する」との指摘が相次ぎ、制度の柔軟化が求められていた。
厚労省はこうした現場の実情を踏まえ、医療分野の診療報酬における取り扱いと歩調を合わせる形で、減算適用の猶予措置を導入する方針を示した。
2.6月から導入される新たな特例措置の内容
(1)最大3か月の猶予期間を新設
事業所・施設が人員配置基準を満たせなくなった場合でも、1年に1回に限り、最大3か月間(欠員発生月の翌々月まで)減算の適用が猶予される。
これにより、突発的な退職や休職が発生しても、直ちに減算が適用されることはなく、一定期間の採用活動が可能となる。
(2)猶予が認められる条件
猶予措置が適用されるためには、以下の条件を満たす必要がある。
・突発的で想定困難な事情により欠員が生じたこと
例:急な退職、病気による長期休職など
・事業所がハローワーク等を通じて採用活動を行っていること
採用努力を行っていることが前提となる。
・既存職員に過度な負担がかからないよう、適正な労働時間管理を行っていること
労務管理の適正化が求められる。
(3)猶予の対象外となるケース
以下の場合は、猶予措置の対象外となる。
・介護職員または看護職員が基準から1割を超えて減少している場合
この場合は、従来どおり減算が適用される。
3.改正による影響
今回の改正により、事業所・施設には以下のような効果が期待される。
(1)経営の安定化
欠員が出た瞬間に減算が適用されるリスクが軽減され、採用活動に必要な時間を確保できるため、経営の急激な悪化を防ぐことができる。
(2)現場負担の軽減
減算を避けるために無理なシフト調整や過重労働を強いる必要が減り、職員の負担軽減につながる。
(3)人材確保のための時間的余裕
採用市場が厳しい中でも、適切な人材を確保するための期間が確保される。
4.今後の課題
一方で、猶予措置が導入されても、根本的な人材不足が解消されるわけではない。
特に以下の点が課題として残る。
・地域によっては採用活動を行っても人材が確保できない可能性
・猶予期間終了後に人員不足が解消されなければ、結局減算が適用されるリスク
・職員の負担増による離職の連鎖を防ぐための職場環境改善の必要性
制度の柔軟化と同時に、事業所側の人材定着策や働きやすい環境づくりが不可欠である。
5.まとめ
2026年6月からの人員基準欠如減算の改正は、深刻な人材不足に直面する介護現場の実情を踏まえた重要な見直しである。
最大3か月の猶予期間が新設されることで、事業所は急な欠員に対してより柔軟に対応できるようになる。
一方で、猶予措置はあくまで「時間を稼ぐための仕組み」であり、根本的な人材確保・定着の取り組みが今後ますます重要となる。