2025.7.7
介護福祉士国家試験に「パート合格制」導入へ:受験者の負担軽減と人材確保を目指す新制度
2025年7月4日、厚生労働省は第38回介護福祉士国家試験から新たに「パート合格制」を導入することを正式に発表した。この制度は、介護人材の確保と受験者の負担軽減を目的としたもので、介護業界における大きな制度改革として注目を集めている。
◎パート合格制とは?
従来の介護福祉士国家試験では、13科目すべてに一度で合格する必要があったが、新制度では以下のように変更される。
・試験科目を3つのパートに分割】
・各パートごとに合否を判定
・合格したパートは2年間有効で、次回以降の試験で再受験不要
・初回は全パートを受験し、不合格だったパートのみ再受験可能
◎制度導入の背景
介護福祉士国家試験の受験者数は年々減少しており、2023年度には約7万4,000人と、2013年度のピーク時の半数以下にまで落ち込んでいる。また、受験者の8割以上が実務経験ルートでの受験者であり、働きながらの受験準備が大きな負担となっていた。
さらに、外国人介護人材にとっては在留期間の制限により受験機会が限られており、制度の柔軟化が求められていた。
◎メリットと懸念点
【メリット】
・一度に全科目を合格する必要がなくなり、心理的・時間的負担が軽減
・働きながらでも自分のペースで受験できる
・外国人介護人材の受験機会が拡大
・資格取得者の増加による人材不足の緩和
【懸念点】
・専門性の一体的な習得が難しくなる可能性
・資格の社会的評価の低下
・試験運営の複雑化とコスト増加
◎関係団体の反応
全国老人保健施設協会や全国老人福祉施設協議会は制度導入に賛成の意を示し、「外国人介護職員にとって福音」と歓迎の声を上げています。一方で、日本介護福祉士会は「資格の社会的評価が下がる」として慎重な姿勢を示している。
◎今後の展望
パート合格制は2025年度(令和7年度)の第38回試験から適用され、2026年度には再受験制度も本格的に始動るす。制度の導入により、より多くの人が介護福祉士を目指しやすくなる一方で、制度の運用と評価の継続的な見直しが求めらる。