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2025.7.17

居宅介護支援における逓減性の緩和に難色

【逓減制の適用緩和とは?】

居宅介護支援における逓減制(ていげんせい)とは、ケアマネジャーが担当する利用者数が一定数を超えると、介護報酬が段階的に減額される制度だ。これは、担当件数が多すぎるとケアマネジメントの質が低下する恐れがあるため、報酬を抑えることで適正な件数管理を促す仕組みだ。
 
例えば、以前は40件以上の担当から報酬が減額されていたが、2021年の改定で、逓減制の適用が45件以上に緩和された。さらに2024年の改定では、ICT活用や事務職員の配置などの条件を満たすことで、50件以上から報酬が減額される「居宅介護支援費(Ⅱ)」が導入された。
 
背景や目的としては「ケアマネジャーの人材不足や業務効率化の必要性が高まっていること。」「ICT(ケアプランデータ連携システム)の導入により、業務負担を軽減できると期待されていること。」「事務職員の配置によって、ケアマネジャーが本来の業務に集中できる環境を整えること。」などがあげられる。
 
しかしながら、厚労省の調査によると、逓減制緩和を「届け出済み」とした事業所は約16.3%。実際に緩和を運用している事業所は全体の1割未満とその効果は出ていない。
①ICT活用のハードル
 緩和の要件である「ケアプランデータ連携システム」の導入が進んでいない。
 「ICTを活用できる体制が整っていない」と答えた事業所が38.5%と最多。
②業務負担の増加
 担当件数が増えることで、ケアマネジャーの業務時間が増加したという回答が約46.2%。
 ICT導入による効率化が期待される一方で、実感できていないという声も。
③ケアマネジメントの質への懸念
 担当件数が増えることで、利用者との関係性や支援の質が低下する可能性がある。
 「質の維持が難しい」として緩和に踏み切れない事業所も多い。
④経営的な問題
 事務職員の配置が要件となっているが、「採用が経営的に難しい」との声が31.6%。
 緩和による報酬増が処遇改善に直結しないケースも。