2025.8.29
ケアマネ更新研修、オンデマンド化へ ~柔軟な学びで負担軽減を目指す~
介護現場の要であるケアマネジャーにとって、5年ごとの更新研修は専門性維持のために欠かせない制度だ。しかし、長時間に及ぶ研修や高額な受講料、仕事との両立の難しさなど、現場からは多くの不満の声が上がっている。こうした課題を受け、厚生労働省は2024年6月の検討会で、更新研修のオンデマンド化を含む効率化策の方向性を提示した。
(オンデマンド化の背景と目的)
・ケアマネ更新研修は約90時間に及び、実習も含めて16日間以上にわたる長期研修。
・多忙な業務の合間に受講する必要があり、離職や資格更新断念の一因に。
・地方では研修機会が限られ、交通費や宿泊費などの負担も大きい。
こうした現状を踏まえ、厚労省は「個々のペースで受講できる柔軟な仕組み」の導入を目指し、オンデマンド型研修の検討を進めている。
(オンデマンド研修の特徴)
・研修動画を好きな時間に視聴可能。
・複数年かけて段階的に受講できる設計。
・全国統一の講義内容により、運営コストや受講料の軽減も期待。
※修了確認のためのチェックテストなども併用予定。
(課題と今後の展望)
・オンデマンド化には多くのメリットがある一方で、以下のような課題も指摘されている。
・視聴履歴や理解度の確認方法の整備。
・グループ演習など対話型研修の代替手段。
・ネット環境やデバイスの格差への対応。
日本介護支援専門員協会は「必要なタイミングで必要な科目を受講できることが重要」とし、個別最適化された学びの実現を後押ししている。
ケアマネ更新研修のオンデマンド化は、介護現場の人材確保と質の向上を両立させる鍵となる可能性を秘めている。制度の柔軟化により、働きながらでも学び続けられる環境が整えば、ケアマネジャーの専門性とモチベーションの維持にもつながるだろう。