2025.9.10
介護保険証「65歳一律交付」廃止へ──厚労省が制度見直しを提案、申請時交付へ転換
厚生労働省は、介護保険証(介護被保険者証)の運用ルールを抜本的に見直し、65歳到達時の一律交付を廃止する方針を示した。今後は「要介護認定申請時に個別交付する方式」への転換が検討されている。
この提案は、2025年9月8日に開催された社会保障審議会・介護保険部会において示され、委員から大筋で了承を得た。
●現行制度の課題
現在の制度では、介護保険の第1号被保険者となる65歳の誕生日を迎えたすべての高齢者に対し、介護保険証が自動的に交付される。しかし、以下のような問題が指摘されてきた。
・実際に介護サービスを利用しない高齢者が多く、保険証が未使用のまま紛失されるケースが多発
・要介護認定申請時に再発行が必要となるなど、自治体の事務負担が増加
・保険証の記載情報が複雑で、利用者・事業者双方にとって扱いづらい
こうした非効率を解消するため、厚労省は「必要な人に、必要なタイミングで交付する」制度への移行を目指している。
●見直しの柱:交付タイミングと情報整理
厚労省が示した見直し案は以下の2点に集約される:
① 交付タイミングの変更
・現行:65歳到達時に一律交付
・見直し案:要介護認定申請時に個別交付
② 記載情報の再編
・基本情報(氏名・被保険者番号など)と変動情報(要介護度・負担割合・限度額など)を分離
・負担割合証や限度額認定証との統合も検討
これにより、保険証の管理が簡素化され、関係者の事務負担が軽減される見込みだ。
●介護情報基盤との連携
この見直しは、2026年度から順次導入予定の「介護情報基盤」と連動して進められる。介護情報基盤とは、利用者・自治体・事業者・医療機関が介護関連情報を共有できるデジタルインフラであり、2028年度までに全国展開される予定。
将来的には、マイナンバーカードによる資格確認や、保険証の電子化も視野に入れている。