2025.9.17
電子申請・届出システムの今後の展望と自治体整備に関して
●令和7年度までに全国自治体での本格運用を目指す
政府は「デジタル社会の実現に向けた重点計画」および「規制改革実施計画」(令和4年6月7日閣議決定)に基づき、行政手続のオンライン化を加速している。特に介護分野においては、厚生労働省が主導する「電子申請・届出システム」の導入が進められており、令和7年度までにすべての地方公共団体での利用開始が目標とされている。
この取り組みは、以下の「デジタル三原則」に基づいている。
• デジタルファースト:紙よりもデジタルを優先
• ワンスオンリー:同じ情報は一度だけ提出
• コネクテッド・ワンストップ:複数機関の手続を一括処理
●今後の展望:全国展開と標準化
1.利用自治体の拡大
令和6年度時点では先行導入自治体への伴走支援が進められており、令和7年度には全国の自治体での本格運用が予定されている。これにより、介護事業者は自治体ごとのローカルルールに煩わされることなく、厚労省のシステムを通じて一括申請が可能となる。
2.標準様式の法令化
介護保険法施行規則等において、標準様式の使用を原則化する法令上の措置が検討されている。これにより、自治体間の様式のばらつきが解消され、事業者の事務負担軽減が期待されている。
3. 利用率の向上
デジタル庁の調査によれば、令和6年度の行政手続のオンライン化率は約51%、オンライン利用率は約79%に達しており、今後さらに向上が見込まれている。
●自治体整備に関する規定と課題
1.総務省の手順書による整備指針
総務省は「自治体の行政手続のオンライン化に係る手順書(第3.0版)」を公表し、自治体が整備すべき体制やシステム構成、標準準拠システムへの対応などを詳細に示している。特に以下の点が重要である。
• 推進体制の構築(庁内BPRの徹底)
• マイナポータルとの接続基盤の整備
• 標準API(ぴったりサービス等)の活用
• 優先手続(子育て・介護・罹災証明等)の重点整備
2.地域独自ルールの見直し
自治体ごとの独自様式や運用ルールが申請者の負担となっているため、ローカルルールの整理・公表が求められている。厚労省は専用窓口を設け、自治体からの要望を集約・分析し、制度改善に反映させる方針である。