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2025.9.19

介護サービス相談員派遣事業、住宅型施設にも対象拡大

●外部の目でサービスの質向上へ
令和2年の制度改正により、従来は特定施設入居者生活介護を提供する施設が主な対象だった「介護サービス相談員派遣等事業」が、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)にも対象を広げることとなった。この制度拡充の背景には、介護サービスの質的向上と利用者の権利擁護を図るという、国の明確な方針がある。
 
〇背景:制度の隙間を埋める必要性
住宅型施設やサ高住では、介護保険サービスの提供が外部事業者に委託されるケースが多く、施設そのものは介護保険の「指定事業所」ではないこともある。そのため、行政による直接的な指導監督が及びにくく、サービスの質や利用者対応にばらつきが生じる懸念があった。
また、苦情対応制度は事後的な対応が中心であり、日常的な不満や疑問に対する改善の仕組みが乏しいという課題も指摘されていた。
 
〇目的:外部の目による質の向上と権利擁護
介護サービス相談員は、市町村に登録された有資格者であり、施設を訪問して利用者の声を聞き、事業者や行政との橋渡しを行う役割を担う。今回の対象拡大により、住宅型施設にも第三者の視点が入り、サービスの透明性と改善力が高まることが期待されている。
特に、認知症高齢者や家族の不安に寄り添い、苦情に至る前の段階で課題を発見・提案する「問題提起・提案解決型」の支援が可能となる点は、地域包括ケアの推進にも資する。
今後の展望:地域連携と相談員の育成
制度の円滑な運用には、市町村と都道府県の連携が不可欠であり、相談員の研修や更新制度の整備も進められている。地域の実情に応じた派遣体制の構築が求められており、地域包括支援センターとの連携強化が鍵となる。