ご高齢者と入居施設をつなぐ情報サイト

トピックス

2025.10.6

高市早苗氏の介護報酬政策:前倒し改定と現場支援を軸とする積極財政路線

自民党総裁選を制し、第29代総裁に就任した高市早苗氏は、介護報酬に関して明確かつ具体的な政策方針を打ち出している。物価高と人件費上昇に直面する介護現場への迅速な支援を重視し、従来の改定スケジュールを見直す「前倒し改定」を掲げている。
  
●基本方針:介護報酬の前倒し改定
高市氏は総裁選期間中から一貫して、介護報酬の早期引き上げを訴えてきた。主なポイントは以下の通りである。
・物価高・最低賃金上昇に対応するため、介護報酬を補正予算で前倒し改定する方針
・過去2年分の人件費と物価上昇を反映した報酬改定を検討
・倒産が相次ぐ介護施設の経営安定化を急務と位置づけて
この方針は、従来の2年ごとの定期改定(通常は年末に改定率決定、翌年春に施行)を前倒しし、臨時国会での補正予算によって早期実施を目指すものである。
  
●現場の危機認識と政策の背景
高市氏の政策は、介護業界の深刻な状況を踏まえたものである。
・介護施設の倒産件数が過去最高を記録
・最低賃金上昇による人件費圧迫と物価高による設備費用増加で法人利益が激減
・職員の待遇改善が進まず、現場の疲弊が進行
このような状況に対し、高市氏は「もたもたしていられない」と明言し、迅速な財政措置による支援を強調している。
 
●財源と制度設計:補正予算による対応
介護報酬の前倒し改定には、制度的な調整と財源確保が不可欠である。
・補正予算での財源確保を明言しており、税収の上振れ分や既存基金の活用を検討
・制度改定には厚労省告示や中医協審議の前倒しが必要
・「ワイズスペンディング(賢い支出)」を掲げ、投資による税収増を狙う財政戦略を採用
高市氏は、財政健全化の必要性も否定せず、柔軟な財政運営を目指す姿勢を示している。
 
●介護職員・施設への影響と期待
介護報酬の前倒し改定が実現すれば、以下のような効果が期待される。
・法人の赤字圧縮と設備更新による職員負担軽減が可能
・職員給与の改善余地が生まれる可能性(ただし即時の昇給には慎重な見方もある)
・地域介護体制の維持・強化
現場からは「期待感がある」「言い切る姿勢が信頼できる」といった声も上がっており、政策の実行力に注目が集まっている。
 
●まとめ:高市政権の介護政策は「スピードと実効性」が鍵である
高市早苗氏の介護報酬政策は、従来の制度運用に一石を投じる積極的な内容である。前倒し改定という大胆な手法を通じて、介護現場の危機に迅速に対応する姿勢は、業界内外から高い関心を集めている。今後の臨時国会での補正予算編成と制度調整が、政策の実効性を左右する重要な局面となるであろう。