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2025.11.11

特別養護老人ホームにおける診療行為に係る給付調整について

特別養護老人ホームにおける診療行為に係る給付調整は、介護報酬と診療報酬の重複請求を防止し、制度の適正運用を図るために定められている。
令和7年11月、厚生労働省は理解促進のためのリーフレットを作成・周知した。
 
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)においては、入所者に対する医療的対応が必要となる場面が多く存在する。
これに伴い、介護保険と医療保険の両制度にまたがる報酬請求が発生する可能性があるため、厚生労働省は「給付調整」に関する明確な取扱いを定めている。
 
給付調整とは、同一のサービスに対して介護報酬と診療報酬の双方を重複して請求することを防ぐための制度的調整であり、配置医師による診療行為は原則として介護報酬で評価される。
一方、外部医師による診療行為については、緊急時対応や専門外診療、末期がん・看取り期等に限り、診療報酬の算定が認められる。
 
令和6年度介護報酬改定においては、以下のような対応が示された。
・配置医師が算定できない診療報酬の明確化
・配置医師でも算定可能であるが、誤解されやすい事例の整理
・分かりやすい周知資料(リーフレット)の作成と配布
 
これらの改定を踏まえ、厚生労働省は令和7年11月、「介護老人福祉施設等における診療行為に係る報酬の給付調整に関する周知について(依頼)」を発出し、全国の自治体および事業所に対して速やかな周知を求めた。
また、通知文では、平成18年に発出された「療養の給付の取扱いについて」および「医療保険と介護保険の給付調整に関する留意事項」の一部改正内容も併せて示されており、制度運用の根拠とされている。
事業所においては、給付調整の正しい理解と運用が求められるとともに、職員への研修や事例共有を通じて、適正な報酬請求と利用者への安全な医療提供体制の構築が重要となる。