2026.3.17
福祉用具の給付対象が拡大
福祉用具の給付対象拡大は、介護保険制度が現代の技術進歩に対応しつつ、利用者の安全確保と生活の質向上を図るための重要な転換点である。
厚生労働省は2026年3月9日の検討会において、通信機能を備えた機器の一部を新たに給付対象に含める方針を示した。
これは、従来の枠組みでは十分に対応しきれなかった見守り機能や機器管理の高度化に応えるものである。
●新たに給付対象となる機器の位置づけ
今回の拡大で特に注目されるのは、屋外へ携行するタイプの徘徊感知機器である。
GPSを活用し、認知症高齢者の位置情報を家族へ通知する仕組みが対象となる。
徘徊による行方不明は全国的に深刻な課題であり、早期発見と安全確保に資する機器の公的支援は、家族介護の負担軽減にも直結する。
また、車いす・歩行器・ベッドなどに付属し、バッテリー状態や異常・故障、使用状況を通知する機能も給付対象に含める方針が示された。
これにより、機器の適切な維持管理が促進され、事故防止や長期的なコスト削減にも寄与すると考えられる。
●一方で除外された機能とその理由
昨年度の検討会で候補に挙がっていた、車いすや歩行器に搭載される位置情報通知機能は、今回の拡大対象から除外された。
徘徊予防や探索に関する効果が十分に確認できなかったことが理由とされ、今後の実績や必要性に応じて再検討される見通しである。
●制度運用への影響と今後の展望
厚労省は今回の方針を社会保障審議会・介護給付費分科会へ報告し、福祉用具情報システム(TAIS)の改修完了に合わせて改正通知を施行する予定である。
制度としての整備が進むことで、福祉用具の選択肢はさらに広がり、利用者・家族・事業者の利便性向上が期待される。
また、福祉用具の種目追加や拡充は、今後も検討会を通じて継続的に行われる。
企業や団体からの提案も受け付けており、技術革新が制度に反映される仕組みが整いつつある。